ソニーグループが策定した長期環境計画「Road to Zero」では、2050年までに環境負荷をゼロとすることを目標とする環境活動を行っています。この実現に向け、5年毎に中期目標を策定しており、2021年4月から2025年度までのグループ環境中期目標として策定したのが 「Green Management(グリーンマネジメント)2025」です。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、「SIE」)においてもグループの活動方針のもと、「食材の環境配慮活動」を推進しています。

この活動は日々社員が食事をとる「社員食堂」で環境に配慮した食材を使用し、その重要性を伝えることで、社員一人ひとりが食にまつわる様々な問題に目を向けること、そして日々の生活における消費行動を変化させることを目的としています。
その結果、環境に配慮された食材の利用拡大につながり、食材に関係する環境問題の解決・および持続可能な社会の実現に貢献することを目指すものです。

環境に配慮された食材とは?

これらの活動において設定された食材は、環境に配慮したポイントごとに全18の項目に分けられています。有機農法で栽培された農作物や、フードマイレージ(食料の重量と輸送距離をかけ合わせたもの)が少なく輸送時のCO2排出量が少ない食材などイメージしやすいものもあれば、アメリカザリガニなどをはじめとした「侵略的外来種を利用した食材」のように一風変わったものも含まれています。

今回は実際に社員食堂で提供した環境配慮食材の中から、「代替肉」と「食用昆虫」をご紹介します。

SIEの食堂で「大豆ミート」と普通のお肉を食べ比べ

代替肉として使われる「大豆ミート」は、豚肉や牛肉、鶏肉といった動物の肉の代わりとして用いられる食品です。大豆は牛や豚を育てるよりも生産時の温暖化ガス排出量も抑えられるなど、エネルギー消費が少ない食品です。

SIEの社員食堂では、この「大豆ミート」が美味しいということを実際に知ってもらい、普段の生活に取り入れてもらうことを目指し、動物肉と大豆ミートの二種類のお肉がはいった「食べ比べ」のメニューなどを提供しました。

また現在の工業型畜産(効率を重視した畜産方法)で牛肉や豚肉を生産するためには、大量の水や飼料が必要となります。その実際の量や環境負荷の仕組みについて、わかりやすく伝えるためのPOPなども食堂に掲示しました。

動物肉の生産がもたらす大きな環境負荷。毎日ではなく、週に一食でも代替肉を取り入れることで、環境負荷軽減に貢献することができます。

食用昆虫のコオロギせんべい&クッキーも販売

代替肉と同様に、肉類よりもCO2排出量などの環境負荷が少ないたんぱく源として注目されているのが昆虫です。
人間が体内で作ることができず、肉や魚から摂取しなければいけない動物性たんぱく質。ですが2030年には90億人になると予想される現在の人口増加ペースに対して、家畜は不足しており、無理に飼育数を拡大すれば飼育のための敷地や飼料のための耕作地開発により、森林破壊や環境汚染が引き起こされる恐れもあります。
一方の昆虫は牛や豚よりも少ない餌で育ち、たんぱく質などの栄養素を豊富に含んでいます。またコオロギはその体の70%がたんぱく質であり、魚や肉と比べて栄養価も高くなっています。

そんなコオロギを美味しく、且つ食べやすくするために開発したのがこの「コオロギせんべい」(写真左)と「コオロギクッキー」(写真右)です。

↑2022年4月25日~5月末日まで食堂で販売しました。

1日当たりのたんぱく質摂取推奨量は男性で60~65g、女性で50gとされていますが、このコオロギせんべいでは約5g(コオロギ約4.62匹分)、コオロギクッキーでは約8g(コオロギ約5.4匹分)のたんぱく質を摂取することができます。コオロギのほかにも大豆やアーモンドなどたんぱく質を多く含む材料を積極的に使用し、極力動物性の材料を排しています。
食用の昆虫というと抵抗を感じる方も多いでしょうが、これらは見た目やにおいに配慮し、かつ自然のものを使用することで体によく、美味しいお菓子を目指して開発したものです。

まずは興味を持つことから

SIEでは「できることからやってみない?食材の環境配慮活動」のキャッチフレーズのもと、環境活動を推進しています。

実際に利用した社員からは
「食べ比べてみないと大豆ミートとは気が付かないと思う」
「見た目で違いが分かったが、大豆ミートも美味しかった」
「コオロギが5.4匹も入っているとは信じられないし、意外と美味しかった」
といった声も届いています。

コロナ禍という事もあり、社員食堂へ実際に足を運びこのような活動を体験できる社員の数が限られてしまうことは非常に残念でしたが、今後も一人でも多くの方に興味を持ってもらえるよう、楽しみながら体験できる形で環境配慮活動に取り組んでいきます。