ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、ほかでは得られない唯一無二のゲーム体験をプレイヤーの皆さんに提供したいと考えています。ゲームの世界に没頭してもらい、ゲームとプレイヤーという関係を超えたつながりを築いてほしいと思っています。それを実現する方法のひとつとして、私たちはゲーム音楽の業界標準を定めることに挑戦しています。

このプロセスはゲーム開発者と連携してゲームの音楽を監督する、音楽担当リーダーの仕事から始まります。SIE組織内には、才能あふれる音楽のエキスパートが大勢おり、PlayStation StudioのCreative Servicesに所属する音楽マネージャーのDuncan Smithと、シニアA&RマネージャーのAlex Hackfordもその一員です。

「音楽はゲーム体験を高め、プレイヤーの感情を引き込み、キャラクターやストーリーと結びつけ、ゲームの世界に没入してもらうための強力なツールです。」とSmithは言います。元DJの彼は、GorillazやMark Ronsonなど数々のアーティストの広報を担当したあと、13年前にSIEの音楽チームに加わりました。プレイステーション®の名作『WipEout』のサウンドトラックを聞いたときに「大きな衝撃を受けた」と語る彼は、それをきっかけに音楽業界で築いたキャリアをゲーム業界へと移しました。

Smithと同じように北米でSIEの音楽制作のリーダーを務めるHackford氏も、ゲーム業界に入る前は、音楽業界で同様の経験を積んでいました。当時のクライアントがRockstar Games社の『Grand Theft Auto: San Andreas』のサウンドトラック制作に参加したあと、Hackfordはゲーム音楽が多様で自由であることに感動したそうです。彼は音楽業界にいたときのことについて、「みんな“ロック系”とか“エレクトロニック系”、“ラップ・ヒップホップ系”だったりするけれど、その中で全部ができる人はほとんどいなかったんです。」と話します。「(SIEでの仕事の)本当によいところは壁がない点です。」

完璧な組み合わせを見つけるために

コラボレーションによるゲーム音楽の水準向上

ソニーグループのネットワークは世界中に拡がっており、グローバルなコラボレーションを促進することで、ゲームタイトルの音楽制作において最高の人材を集めることができます。

「SIEとプレイステーションの約束は、世界中の開発者が互いの専門技術を活用し合えるべきというものであり、それは私たちも同様なのです。。」とHackfordは付け加えます。また彼はソニーグループ内でのコラボレーションの例として、Milan Recordsからリリースされた『DEATH STRANDING』のオリジナル楽曲アルバムと『Ghost of Tsushima』のサウンドトラックを挙げました。

ショー・マスト・ゴー・オン

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、上記のようなグローバルなコラボレーションの一部(対面での協業など)は中断せざるを得なくなっていますが、同時にクリエイティブな問題解決方法の模索が育まれた他、思いもよらない機会も生み出されました。

「この状況を迎えて1年が経ちますが、私たちは、独奏や小グループでの録音をそれぞれリモートで行う新しいやり方を見つけるなど、クリエイティビティを活かして作業を継続する方法を常に探しています。」とHackfordは言います。「とても驚きましたし、こんなにも早く適応できたのは、私たちの力や、チームの幅広い知識の証明だと思います。」

Smithは、「『Returnal』では、不気味な電子音楽の楽曲作りを目指しており、その筋のスペシャリストである素晴らしい作曲家と一緒に仕事をする機会に恵まれ、生での録音をする必要がなかったため、感染症の影響は最小限に留まりました。『リビッツ! ビッグ・アドベンチャー』の音楽制作の場合は、コロナ禍における業務ガイドラインに従う必要がありましたが、それを順守しつつもよい結果を出せました。」

また彼は、新型コロナウイルス感染症がライブ音楽業界に多大な影響を与えたことで、結果として普段では得られないコラボレーションの機会がSIEで生まれていることについても話してくれました。

Smithは「ツアーを行えないアーティストの中には、ファンとつながる新しい方法を探している方や、新たなオーディエンスに出会いたいと思っている方がたくさんいます。このような音楽の発見や聴衆とのつながり方において、ゲームが最適な媒体となっているのです。」と言います。

チームの一員となるには

音楽の方向性を概念化するだけでなく、作曲家、プロデューサー、ミュージシャンといった多彩なグループと共同作業を行い、世界的なウイルス流行の困難を乗り越えるという点でも、私たちはゲーム音楽の世界を押し拡げていきたいと願い続けています。自分もゲーム音楽の世界に加わりたいという方に向けて、SmithとHackfordからアドバイスがあります。

「興味深いゲームを作っている小規模な開発会社にて、実はサポートや人手を求めているところは沢山あります。まずは彼らとの関係を築きましょう。“私はあなたたちのファンです”と声をかけるだけでもいいですし、サウンドプログラミングの専門知識があるなら、開発支援を申し出るのもよいでしょう。」とHackfordは言います。Smithは業界に足を踏み入れるそのほかの方法として、カンファレンスなどの場が再開されるようになったらそれらに参加し、自分のプロジェクトを立ち上げることをすすめます。「自分の能力を人に示すのです。単に自らの才能だけでなく、動機や意志、実践していること、必須ソフトやプログラムの使用について習得済みであることを示します。」とSmithは言います。「外に出て人と会うことが、この素晴らしい業界の入り口とのつながりを築き、自分の道を切り開く最高のきっかけとなるのです。」

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