SIEの「Playing for the Planet」2020年影響報告
■Chief Environmental Education and Youth Unit at UN Environment Programme,
「Playing for the Planet」 アライアンス創設者 Sam Barrat
ゲーム産業は、現代のエンタテインメントメディアの中で最大級の規模を誇り、今や地球上の三人に一人がゲームを遊んでいます。ゲームにおける大切な要素として、自身のレベルアップや、より早く、より高得点でゴールを目指すこと、そして不可能への挑戦などが挙げられますが、これらはどれも現代の最大の課題である「気候変動」に挑むために不可欠なことです。
2019年9月に国連環境計画(UNEP)が設立した「Playing for the Planet」アライアンスは、4つの大きな目標を掲げています。
- 業界全体がCO2測定ツールを持ち、その排出量を削減し、脱炭素化への目標を設定できるよう、業界各社の協力を呼びかける
- ゲームを通じて環境に配慮した行動を促す
- 同業他社の参考になるよう、施策から得られた学びを発信する
- 将来制作される新しいゲームや、ストーリーテリングに対する斬新な戦略を模索する
アライアンスの立ち上げ初年度に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)を含む29社ものゲーム会社は、気候変動の危機に立ち向かうために、各社の強みを生かしてこれらに積極的に取り組むことを発表しました。UNEPはその後、参画企業の協力のもと、4つの目標に対する企業各社または全体の進捗状況をとりまとめ、初の2020年影響報告書を発行しました。全文はこちらからご覧いただけます。
アライアンスの参画企業は、環境保護活動に対する具体的かつ測定可能な取り組みを実施し、その経過を報告することが求められています。SIEはこのプロジェクトにおいて重要な役割を果たしており、PlayStation®4のエネルギー効率化対策により2030年までにCO2排出量を約3,000万トン削減することをコミットしています。
このコミットメントの達成に向けてSIEの各施策は順調に進んでおり、次世代ゲーム機であるPlayStation®5においても、消費電力の削減につながるゲームを一時中断する「レストモード」機能を採用しています(SIEの成果の詳細については、こちらの資料をご参照ください。SIEの「Playing for the Planet」年間報告)。
環境に配慮した取り組みはハードウェアに留まりません。ソフトウェアタイトルにも画期的なイノベーションが取り入れられています。SIEは、UNEPと協力し『Dreams』を使用したVR用の啓蒙動画や、ニュージーランドの慈善団体Sustainable Coastlineと協力して、ビーチの清掃活動をテーマにした環境ゲームを共同制作しました。
2020年に開催した「Green Game Jam」では、11社のモバイルゲーム会社が、プレイヤーの環境保護への意識を高めるさまざまな要素をゲーム内で試験的に導入し、その活用方法を模索しました。これらのゲームは、最終的に1億1000万人を超える人々に届きました1。今年は10億人のプレイヤーに届けることを目指して、イベント規模を飛躍的に拡大していきます。今年の「Green Game Jam」には大手ゲーム機メーカーが参加される予定ですが、そのすべての企業が、環境に配慮したゲーム作りに取り組むことを約束しています。
業界の力を結集するこの取り組みはまだ始まったばかりですが、18カ月間ですでに大きな前進を遂げており、2021年にはさらに加速していきます。夏には、ネットゼロ(二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)の達成を掲げ「Green Game Jam」の参画企業がさらに増える見込みです。この取り組みが特別なのは、メンバー間に(競争ではなく)思いやりと仲間意識が存在することです。ここで生み出されたコラボレーションの精神と関心が、私たちの成果や学びとなり、今後の有益な模範となることでしょう。
困難と災難に見舞われた昨年は、私たちの回復力が試された年でした。気候変動の危機に立ち向かうには、多くの皆さんの関心と、私たちの団結力が欠かせません。ゲーム業界にはスピード感、創造性、インスピレーションがあります。私たちは、2021年も引き続きこれらをどう活用していくべきか、そしてゲーム業界が「Playing for the Planet」をどのように支援していけるかを模索し続けていきます。
1 取り組み全体でのリーチについては、2020年UN Playing for the Planet影響報告書17ページの「Green Game Jam 2020」に関する記述をご参照ください。
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