自然と回路基板の両方を思わせるデザインの緑の風景の上を飛ぶ、鳥のイラスト。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)では、ゲームがエンターテインメントの枠にとどまらず、社会にどのようなインパクトを与えられるかを考えています。そのため、製品・サービスの環境負荷低減や環境問題に対する意識向上に取り組んでいます。

ソニーグループの環境計画「Road to Zero」の一環として、製品およびサービスのライフサイクル全体(設計・製造から使用・廃棄に至るまで)を通じて、気候変動、資源保有、化学物質管理、生物多様性の保全の4つの重要な視点に焦点を当てています。

2025年度サステナビリティ・ハイライト

  • 排出量を16%削減
  • 「ゲーム用省電力」機能によりPS5の消費電力を最大50%削減
  • パッケージの95〜100%を脱プラスチック化(繊維系素材)
  • 「Aloy's Forest」を通じて741,180本の植樹を支援

気候変動への取り組み

ソニーグループは、2018年度を基準年とし、2040年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロ(ネットゼロ)を目指しています。この目標は、国際的なイニシアティブである「Science Based Targets(SBTi)」の認定を受けています。

SIEでは、製品の製造・使用・廃棄や、流通、コンテンツ配信、データセンターなど、主要な排出源を対象に組織全体の排出量を毎年追跡・予測しています。最新の予測では、ゲームコンソールの販売サイクルの影響などにより年ごとの推移には変動が見られるものの、全体としては減少傾向を示しています。

2025年度におけるSIEの組織全体の炭素排出量は、2024年度と比較して約16%削減されたと推定されています。

この傾向の主な要因は、各国の再生可能エネルギーおよび低炭素技術の導入にともなう電力供給の炭素強度の低下です。また、気候変動への影響を低減するために、以下のような取り組みを継続して進めています。

新たな省電力機能の開発: 2025年9月、温室効果ガス排出量の削減に貢献するため、PS5およびPS5 Proコンソール向けに新機能「ゲーム用省電力(Power Saver)」を導入しました。ユーザーがこの機能を有効にすると、対応しているPS5ゲームのパフォーマンスを調整し、コンソールの消費電力を最大50%削減することができます。この機能に対応したゲームには、PlayStation™Storeやホーム画面のゲームタイトルの横に新しい省電力アイコンが表示されます。

再生可能エネルギープロジェクトの支援: 昨年、PS5のPS Storeで提供されているサードパーティ製アプリケーション「CleanPlay」を紹介しました。現在「SuperPower」と名称を変えたこのアプリは、プレイヤーの皆さんがゲームプレイ時のエネルギー消費量やその削減方法を学べるほか、再生可能エネルギープロジェクトやゼロカーボンエネルギーへの移行を支援する機会を提供し、その貢献に対してデジタルリワードを付与します。 また、アプリを通じて支援対象の取り組みについて学び、貢献したいプロジェクトを選択することができます。「SuperPower」の詳細については、https://www.getsuperpower.com/ (英語のみ)をご覧ください。

今後も、炭素排出量を削減し、長期目標の達成に向けた進捗を支えるための新たなアプローチや機会を、検討していきます。

資源の保全

ゲームコンソールの製造と流通には、レアアースやプラスチックをはじめとする、多くの天然資源が使用されています。SIEでは、事業活動および製品のライフサイクル全体において、資源消費の削減やリサイクル素材の利用拡大など、限られた資源をより効率的に活用することを目指しています。

2025年度においても、使用素材やパッケージングの再見直しを行い、資源効率の向上に注力しました。

パッケージのプラスチック削減: パッケージに使用されるプラスチックの削減に向け、継続的な検証と改善を進めています。2025年度には、一部製品の保護袋として使用されていたプラスチック製「MIRAMAT(ミラマット)」の代替として、コットン素材の導入を開始しました。現在の製品ラインナップ全体において、製品や地域に応じ、パッケージの95〜100%に繊維系素材が使用されています。

製品への再生プラスチックの採用拡大: 欧州、米国、オーストラリア、ニュージーランド市場向けのゲームディスクケースには、産業廃棄物からリサイクルされた再生ポリプロピレンを使用しています。これらの地域における平均リサイクル素材使用率は、2022年度の14%から、2024年度および2025年度には24%へ増加しました。日本やその他のアジア地域を含めた対象市場全体においても、2025年度の平均再生材比率は22%となっています。

オフィスでの使い捨てプラスチック削減: 世界各地のオフィスでも使い捨てプラスチック製品の削減を進めています。主な事例は以下の通りです。

  • リバプールオフィス(英国)社員カフェでは、使い捨て製品「ゼロ(100%削除)」を維持しています。
  • ロンドンオフィス(英国):朝食用容器を除き、すべて再利用可能な容器に置き換えました。
  • サンマテオオフィス(米国):社員カフェにあるパッケージ製品は、すべてコンポスタブル素材を使用しています。
  • 東京芝浦クリスタル品川オフィス:社員カフェでのガムシロップの個包装提供をやめました。

生物多様性の保全とエコシステム復元の支援

SIEは、PlayStation®ブランドや製品を通じて、毎月1億2,000万人を超える世界中のプレイヤーとつながっています。このプラットフォームならではの影響力、クリエイティビティ、技術、そしてパートナーシップを生かし、生物多様性の保全や生態系の回復をはじめとする環境問題への関心をどのように高めていけるか、常に新たな可能性を追求しています。

また、国連の「Playing for the Planet Alliance」への参画を通じ、ゲームプレイやデジタル体験を現実の環境保全活動と結びつける取り組みを進めています。

生態系回復の支援: PlayStation®StudiosのGuerrilla Gamesが手掛けた『Horizon Forbidden 生態系回復の支援: PlayStation StudiosのGuerrilla Gamesが手掛けた『Horizon Forbidden West』の発売に合わせて、2022年に生態系の保全と回復を支援するプロジェクト「アーロイの森」を開始しました。作中で描かれる、世界に秩序と調和を取り戻す主人公アーロイの旅には、自然や生物多様性、環境保護の重要性といったテーマが込められています。

この取り組みを通じて、2026年3月時点で累計741,180本の植樹を支援しました。2025年度には、かつての森林生息地の再生を目指し、米国の露天掘り鉱山跡地に56,180本を植樹しました。

さらに、Arbor Day Foundation(アーバーデー財団)との新たな提携プロジェクトを通じて、米国ケンタッキー州、グアテマラ、マラウイなどの地域で84,820本の追加植樹を行う予定です。これにより、土地の回復や水質保全をはじめ、安定した食料づくりや地域生活の支援へと貢献を広げていきます。

写真提供:Green Forests Work

アパラチア山脈中部におけるプロジェクト拠点の空撮画像。土地再生における主な目標の一つは、地域の生態系と野生動物を育む生物多様性の向上です。そのため、アカトウヒ、オーク、ヒッコリー、ショートリーフパインなど、その土地に適した多様な樹種を選定して植樹を行っています。

写真提供:Green Forests Work

ケンタッキー州東部の炭鉱跡地で、土壌を耕し苗木を植える森林再生チーム。アパラチア中部地域には露天採掘炭鉱の歴史があり、多くの地域が1977年の表面採掘管理・復元法のもとで再開発されました。しかし、再造林は義務付けられていなかったため、ケンタッキー州東部やウェストバージニア州の炭鉱跡地は外来植物に覆われ、自然な樹木の成長が阻害されていました。

オックスフォード大学生物学部との新たな研究資金提供: 昨年、オックスフォード大学のワイサムの森(Wytham Woods)内にデジタル森林モデルを構築する新しい研究プロジェクトを発表しました。このプロジェクトは、生物多様性と地上部の炭素貯蔵量を評価するための低コストな撮影・センシング技術の進歩と検証を目的としています。この取り組みは初期検証フェーズを超えて拡大し、生態学的データ、リモートセンシング、AI駆動のモニタリングデータを統合したワイサムの森の包括的な「デジタルツイン」の開発へと進展しています。

このプロジェクトでは、ソニーセミコンダクタソリューションズが提供する「AITRIOS™」プラットフォームの技術をはじめ、スマートフォンベースのツール、3D画像・センシング技術が活用されています。

本取り組みでは、これらの技術が多様な環境下でスケール可能な生物多様性モニタリングや生態系の回復力評価をどのように支援できるか、引き続き検証していきます。研究チームはArbor Day Foundationのパートナーと協力し、世界中の1箇所以上の再植林拠点でこれらの技術の実証テストをする計画です。

研究主任のグラハム・テイラー教授のコメント: 「最先端AIの目覚ましい進歩により、高価なスキャナーを使わなくても、誰もが持つモバイル端末で植物の3D構造を再現・可視化できるようになりました。私たちが目指しているのは、この低コストな技術をオックスフォードで確立・検証し、世界中の地域コミュニティへ届けることです。それによって、現地の人々自身が生物多様性を評価し、生態系の回復をモニタリングし、炭素貯留量を測定できるようにしていきたいと考えています。」

データ活用による環境保全の強化: ロンドン動物学協会(ZSL)のプロジェクトを支援し、保護地域における保全活動の効力を高めるため、12カ国以上・83名の参加者に対して高度なSMART(Spatial Monitoring and Reporting Tool)トレーニングを実施しました。

ZSLは、保護地域内の野生動物や直面する脅威をモニタリング・管理する技術プラットフォーム「SMART」の設立メンバーです。現在、世界100カ国・1,500以上の公園において、最前線で活動する環境保全活動家たちがデータに基づく迅速かつ効果的な保全活動ができるよう支援を行っています。

インタラクティブ技術を通じた気候変動への意識向上

2025年6月、国連環境計画(UNEP)とのコラボレーションにより開発された新しいアプリケーション『Climate Station™』をリリースしました。『Climate Station』はバーチャルリアリティ(VR)技術を活用し、ユーザーが気候データを見て、体験し、より深い理解を得られるようにすることで、気候変動への意識を高めることを目的としています。

本アプリは「Weather Year(気象の1年)」「Observations(観測データ)」「Projections(将来予測)」という3つの主要エリアを通じて気候情報を提供します。

  • 「Weather Year」では、気象現象の視覚的な探求を通じて、地球の相互に接続された気象システムを紹介します。
  • 「Observations」では、数千に及ぶ地点の気温記録を含む100年以上の気候データを閲覧できます。
  • 「Projections」では、気候モデルのデータを用いて、今後の多様なシナリオが今世紀末までに気候にどのような影響を与えるかを考察することができます。

さらに『Climate Station』には、気候変動、気象システム、そして変化の要因に関するマルチメディアコンテンツを収めた「Explainer Library(解説ライブラリ)」も含まれています。データには、NASA、NOAA、Berkeley Earth、Climate Research Unit(CRU)、世界気候研究計画(WCRP)などの科学的情報源が使用されています。

これまでに多くの好意的な反響が寄せられており、『Climate Station』は創造性と技術を活用して環境情報をより身近にし、気候変動への意識向上を後押しするSIEの継続的な取り組みを反映しています。

2025年度を通じて、以下の世界各地で『Climate Station』の体験展示を行いました。

  • 英国: ロンドン動物園、レディング大学(「Show Your Stripes Day」気候変動啓発イベント/サステナビリティ奨学金イベント)
  • 中国: 「Bilibili World」(大型エンタメイベント)、上海「サステナビリティ・リーダーズ会議」
  • ニュージーランド: ウェリントン動物園

今後は、インド・ベンガルールの「Bengaluru Science Gallery」や、ドイツ・ベルリンの「Computerspielemuseum(コンピュータゲーム博物館)」での体験展示も予定しています。

「遊び」から「明確な目的」へ――ウェリントン動物園では、来訪者が『Climate Station』の体験を通じて自然界への好奇心を深め、気候変動に対する行動へとつなげています。なお、本展示はオセアニア地域における『Climate Station』初の展開となりました。

オックスフォード大学との研究による新たな知見: SIEは、ゲームがどのように環境問題への意識を高め、より情報に基づいた選択を促進できるかについて、オックスフォード大学との共同研究を継続支援しています。

2026年4月、オックスフォード大学はMedia Moleculeが開発した専用ゲームに基づく査読前論文(英語のみ)を公表しました。本研究では、ゲーム内の環境コンテンツが、現実世界でのサステナブルな食品選択に与える影響を検証しています。

英国の成人4,000人を対象とした調査の結果、ゲームプレイ直後にはサステナブルな食料品を選ぶスコアが約20%向上し、その効果は数週間後においても約10%持続していることが確認されました。

これらの結果は、科学的根拠に基づき綿密に設計されたゲームコンテンツが、単なる意識向上にとどまらず、実際の行動に変化をもたらす可能性を示しています。今後も、オックスフォード大学と協力し、正確で自然にゲームに馴染む環境テーマを組み込むための開発スタジオ向けガイドライン策定を進めていきます。

社員のボランティア活動

過去1年間、社員ボランティアプログラムを通じて、世界中で海岸の清掃活動や保全活動に取り組んできました。

英国の「The NHS Forest」や「The Friends of Tower Hamlets Cemetery Park」、米国の「Surfrider Foundation」や「I Love a Clean San Diego」をはじめ、ご協力いただいたパートナー団体の皆様に心より感謝申し上げます。

また、東京のオフィスでは、品川駅周辺で毎月実施している清掃活動に社員が継続して参加しました。さらに、日本自然保護協会(NACS-J)による生物多様性保全の取り組みを支援するため、大崎エリアでの野鳥生息環境調査にも参加しました。
※日本以外の各種団体・取り組みのリンク先は英語サイトです。

「The Friends of Tower Hamlets Cemetery Park」が主催するボランティアに参加するSIEスタッフ。都市部に残る貴重な緑地環境の維持・改善に貢献しています。

国連からの評価

2025年度、SIEは脱炭素化の取り組み、ゲーム内での環境アクティベーションに関する研究、テクノロジーやIPを活用した行動喚起、そして業界内での協働といった総合的な取り組みが評価され、国連「Playing for the Planet Alliance」より、初となる特別イノベーション賞(Special Innovation Award)を受賞しました。

国連「Playing for the Planet」のアンバサダーとともに、特別イノベーション賞の受賞を祝うSIEスタッフ

私たちのアプローチ

ソニーのサステナビリティビジョン「感動をもたらす世界を、次世代へ。(Inspire a World Filled With Emotion for This Generation and Beyond)」は、誰もが健やかに安心して暮らせる、豊かな自然環境と社会の実現を目指す当社のコミットメントを表しています。

このビジョンは私たちのサステナビリティへの取り組みの基礎であり、以下の3つの原則に基づいて行動し、エンタテインメントの枠を超えた社会的影響を生み出すことを目指しています。

  1. 自らの道を切り拓く(Forging our own path)
  2. 意志を行動に移す(Turning intention into action)
  3. 適切なアクションを取る(Doing the right things and doing them well)

取り組むべき課題はまだ多く、さらなる前進にはゲーム業界内にとどまらない継続的な協働が不可欠です。私たちは今後も、テクノロジー、創造性、そしてコミュニティを通じて、意味のある環境の進歩に貢献できるよう注力していきます。

「ゲーム用省電力」や「アダプティブ充電」などの機能を有効にする、Climate Stationのような体験に触れる、あるいはSuperPowerなどのアプリを通じてPlayStationでの環境への取り組みについて知るなど、プレイヤーの皆さんも参加することができます。こうした日々の選択の積み重ねが、持続可能な未来に向けた着実な一歩となります。

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