毎年4月22日は、世界中の人々が環境保護活動や地球環境について考える「アースデイ(地球の日)」です。今年の「アースデイ」を前に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が取り組んでいる環境保護活動に関する進捗状況をお伝えします。SIEは、気候変動、資源、化学物質、生物多様性の4つの視点で、それぞれに目標を設定しているソニーグループの環境計画「Road to Zero」に取り組んでいます。本記事では、過去1年間の主な取り組みをご紹介します。

国連の「Playing for the Planet Alliance」への貢献
2022年の「世界環境デー」には、国際連合環境計画(UNEP)と国連REDDプログラムが結成した「Play4Forests」キャンペーンを支援するため、3,000万人以上のPlayStationユーザーに向けてシステム通知を配信しました。「Green Game Jam 2022」(短時間ゲーム制作イベント)では、PS4タイトル『Dreams Universe』のプレイヤーたちが「持続可能な農業」をテーマに約270本の作品を製作しました。また、ゲームを通じて環境保護に関する情報や学ぶ機会を提供する方法について、これから2年間にわたりSIEはオックスフォード大学と共同研究を行ないます。さらに、SIEは「Playing for the Planet Alliance」諮問委員会に臨時メンバーとして加わりました。

様々な環境保護団体と連携し、世界各地で森林の再生・回復プロジェクトを実施
『Horizon Forbidden West 』の発売や、『Dreams Universe』を活用した 「Green Game Jam」の活動、また国連の「Playing for the Planet Alliance」を支援し、生物多様性に対する認知度の向上を推進する啓発活動の一環として60万本以上の植樹を行ないました。昨年、「Playing for the Planet Alliance」は、当初の目標であった100万本を大きく上回る250万本の植樹を達成しました。

「樹木は、適切なレベルの生物多様性を維持するために不可欠な役割を果たし、多種多様な動植物の住みかなど、あらゆる恵みをもたらします。生物多様性と再生力のある地球を維持することを目指し、Arbor Day Foundationとそのメンバーたち、支援者、そしてSIEのような企業パートナーは、森林生態系の保護・再生が必要な地域を支援する活動に取り組んでいます」(Arbor Day Foundation

さらに、SIEは、草原地や藻場の回復をはじめとした生態系の再生プロジェクトも支援しました。現在進行中の再生プロジェクトの詳細については、近日中に写真とあわせて進捗状況をお伝えします。

自社製品にリサイクルされた材料を活用
電子機器における再生プラスチックの使用は、依然として困難で複雑な問題ですが、SIEは責任ある対応に努めています。2022年度には、私たちの工場のひとつで、PS5スタンドに再生ポリプロピレン(PP)樹脂を活用するトライアルに成功しました。使用済みの洗濯機や冷蔵庫から回収された再生PPを少なくとも24%以上使用した※1PS5スタンドを、200万個以上製造しました。今後もSIEは、再生プラスチックの活用方法について様々な可能性を検討していきます。例えば、2022年度、全世界で利用されたPlayStationタイトルのディスクケースには、産業廃棄物からリサイクルされた再生PPを平均で14%ほど使用しています。

パッケージのプラスチックを削減
今後新たに発売される小型製品からはプラスチック包装材を廃止し、その他の製品についてはプラスチック包装材の使用率を10%削減することを目指し、SIEは引き続き前進していきます。PS VRの梱包で用いられた包装材や緩衝材が96%繊維素材でできていたのに対し、新たに発売されたPS VR2の梱包には繊維素材が98%活用されています※2。また、今年から、全世界で販売されている一部のPS5周辺機器のハンガータブ(パッケージ箱外側の吊り下げ用に穴をあけた部分)をプラスチックから繊維素材に変更する予定です。

より良いパワー・マネジメントを意識した製品開発
PS VR2は、初代PS VRと比較してパワー・マネジメント(消費電力を低減する機能)が向上しています。PS VR2のディスプレイは、ヘッドセットを装着していない時はすぐに消灯するよう、初めから設定されています。また、ヘッドセットを装着していない状態でゲームを終了すると、30分後にヘッドセットの電源が自動的に切れるようになっています。

データセンターで使用するエネルギーを再生可能なものへ
SIEのゲームストリーミングに用いているサーバーの提供元と引き続き連携し、データセンターがエネルギー消費効率の最新基準を満たせるように努め、使用する電力をできる限り再生可能なものへ移行する活動を促進しています。2022年、PlayStationのゲームストリーミングに使用した電力のうち83%は低炭素で再生可能なエネルギー資源に由来し※3、残りの17%の電力を賄うために生じたCO2排出量を相殺するカーボンクレジットを、Gold Standardプログラムから購入しました※4。また、米国、英国、日本に拠点を置くSIEの主要オフィスでは、昨年、100%再生可能な電力を使用しました。

環境保護を目的としたボランティア活動を全社で開催
英国のShepreth Wild ParkVinters ValleyNational TrustThe Friends of Tower Hamlets Cemetery Park、および米国のSurfrider Foundationをはじめとした組織とパートナーシップを結び、自然保護区や野生動物保護区、海洋保護区の運営を支援する目的で、一般的なメンテナンス作業や清掃ボランティアなど、さまざまな活動にSIE社員が参加しました。香港とシンガポールのSIE社員は、台湾のビーチクリーン活動や河川の清掃に参加しました。

製品のエネルギー効率
PlayStationハードウェアの消費電力は、SIEにとって最大のCO2排出源です。2022年、PS4およびPS5はグローバルでおよそ5.1テラ・ワット・アワー(TWh)の電力を消費し※5、同期間の電力消費によるCO2総排出量は、170万トンCO2e(MtCO2e)と推計しています※6。ハードウェアの売上は、次世代機の発売周期に合わせて変動します※7。世代間ごとのCO2排出量を比較すると、PS5の使用による2022年のCO2排出量が0.9MtCO2eであったのに比べ、PS4の本体発売から同期間後である2015年のCO2排出量は1.3MtCO2eと推定されます。

それぞれのハードウェアの使用法の違いや、PS5でのエネルギー効率の高いテクノロジーの導入(効率的なチップセット、電源、レストモード等)、グローバルでの電力供給の低炭素化など、様々な要素がCO2排出量の相対的な減少に繋がっています。

また、PS4※8とPS5※9については、これまでに実施したエネルギー効率の改善により、それぞれ推定56TWhと3TWhの電力を抑制しました。ソニーグループは、2025年度までに製品1台あたりの年間消費電力量 を5%削減 (2018 年度比)し、さらには2040年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目標と定めています※10(Science Based Targets initiative)。これからもSIEは、PS4やPS5のエネルギー効率を向上させる方法を検討し、それらの進捗状況をお伝えしていきます。さらなる詳細については「PlayStationと環境」をご覧ください。

SIEは、環境と社会へ貢献し、考えを行動に移しながら、適切なアクションを取り変化を起こすことを目指しています。より持続可能な世界を維持するためには、私たち自身が環境に与えるインパクトに責任を持ちながら、SIEの持つテクノロジーを活用して変革をもたらす必要があります。まだやるべきことは多くありますが、今後も引き続き進捗状況や成果をお伝えしていきます。

原文はこちら

※1 2022年度に全世界で販売されたPS5スタンドで使用されているPPのおよそ3%に相当。再生PPは使用済み製品から回収されたものを活用しています。
※2 欧州で販売されている製品に基づくデータを使った推定値。
※3 「GHGプロトコル事業者排出量算定基準」のガイダンスに基づき排出量を算出しています。
※4  2022年のGold Standardによるオフセットは5,383MtCO2eに相当。
※5 「Typical Energy Consumption(TEC値)」の算出方法を使用しています。2022年における5.1TWhの内訳は、PS4が2.2TWh、PS5が2.9TWh。TWhは「テラワットアワー」を表す略語です。1テラワットアワーは10億キロワット時に相当。PlayStationハードウェアの消費電力についてはこちら(英語のみ)を、ハードウェア1台あたりの電力使用量についてはこちら(英語のみ)をご確認ください。
※6 2022年におけるPS4およびPS5のCO2総排出量は合計でPS4が0.72 MtCO2e、PS5が0.94MtCO2e。MtCO2eは「metric ton of CO2 equivalent(メガトンCO2)」を表す略語です。「metric ton(メートルトン)」とは異なります。1メガトン(Mt)は100万トンまたは100万メートルトンに相当します。本数値は、ゲーム機の使用によるCO2排出量のみを示しており、SIE全体のカーボンフットプリントを表すものではありません。本数値の試算には、製造、物流、オペレーション、ネットワーク、データセンターをはじめとしたSIE製品は含まれていません。SIE全体のカーボンフットプリントに関する詳細は、今年の後半にお伝えする予定です。
※7 ハードウェア売上高の前年比については、VGChartz.comをご参照ください:https://www.vgchartz.com/tools/hw_yoy.php
※8 2013年11月の本体発売から2023年3月末までにPS4が抑制した電力使用量の推定値。このうち約7.8TWhは、EU待機電力指令(EC 1275/2008:EU 801/2013により改正)によるスタンバイおよびネットワークスタンバイ基準への準拠によるものです。
※9 2020年11月の本体発売から2023年3月末までにPS5が抑制した電力使用量の推定値。
※10 ソニーグループ株式会社は、2018年度比で2040年までに、バリューチェーン全体における温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロとします。ソニーグループ株式会社は、中期目標として、スコープ1、2のGHG排出量を2035年度までに2018年度比で72%削減します。ソニーグループ株式会社は、同目標期間において、販売した製品の使用をカバーするスコープ3のGHG排出量を45%削減します。さらに、ソニーグループ株式会社は、2025年度までに、購入製品・サービスに関するサプライヤーの10%が2025年度までに科学に基づく目標(science-based target)を持つことを目指します。長期目標 として、ソニーグループ株式会社は、スコープ1、2、3のGHG排出量を、2018年度比で2040年度までに、90%削減します。https://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action#dashboard