毎年4月22日は、世界中の人々が環境保護活動や地球環境について考える「アースデイ(地球の日)」です。今年も「アースデイ」を前に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が取り組んでいる環境保護活動に関する進捗状況をお伝えします。SIEは、気候変動、資源、化学物質、生物多様性の4つの視点で、それぞれに目標を設定しているソニーグループの環境計画「Road to Zero」に引き続き取り組んでいます。本記事では、過去1年間の主な取り組みをご紹介します。

国連の「Playing for the Planet Alliance」への貢献

SIEは、気候変動に対する認識向上に向けた活動の一環として、国連環境計画 (UNEP) の協力を得て、複雑な気候データを一般の方々が閲覧し、インタラクティブに学び、理解を深めることができる、VR技術を採用したアプリ「Climate Station™」を開発中です。「Climate Station™」の詳細については今後ご紹介する予定です。SIEは、「Climate Station™」をドバイで開催された「COP28(第28回締約国会議)」、ならびにナイロビで開催された「UNEA-6(第6回国連環境総会)」で披露しており、現在はオックスフォード大学とともに、世界のリーダー、政策立案者、そして各種ステークホルダーによる本技術の評価や、応用方法に関する研究を進めています。

2023年も、前年に引き続き、PlayStation本体へのお知らせやメールなど、幅広いチャンネルを通じて、国連のPlay4Forestsキャンペーンへの支援をゲームコミュニティーに呼びかけました。その結果、現在までに集まっている128,700人の署名の内、半数以上の70,900人の署名を過去2年間で集めることができました。

アーロイの森」プロジェクトによる、生物多様性の保全活動

2023年、SIEは自然保護に携わるさまざまなパートナーとともに、世界各地で生物多様性の再生プロジェクトに参加し、その進捗をビデオにまとめて報告しました。この取り組みは、「国連REDD(途上国における森林減少・劣化による温室効果ガス排出の削減)」プログラムが支援する「Playing for the Planet Alliance」へのコミットメントの一環として、生物多様性に関する意識を高めることを目的としています。

今年は、Arbor Day Foundationと World Wildlife Foundation(WWF)とともに、新たな森林再生・保護プロジェクトのスポンサーとなり、世界中のアーロイの森の規模を拡大していきます。SIEが支援するプログラムは、以下の通りです。

Arbor Day Foundation

ルワンダ、東部州、Kayonzaナーセリーの苗木担当マネージャー

ルワンダ:One Acre Fund

このプロジェクトは、地域の生物多様性の保護、不作地の再生、これまで十分なサポートが受けられなかった周辺地域住民の支援、特に気候変動の影響を重く受ける小規模農家への経済的機会の提供を目的とする、One Acre Fund主催の共同プロジェクトです。SIEは、本プロジェクトを通してルワンダ全土で失われた森林の再生に向けて、25,000本の植樹を支援します。

マダガスカル: Forest Habitats

Arbor Day Foundationは、Madagascar Biodiversity Partnershipと連携し、マダガスカルの樹木被覆地の著しい減少問題に取り組んでいます。本プロジェクトは、地域の住民に安定した職とリソースを提供するマルチベネフィット(複数の社会課題の同時解決)システムを通じて、植林と配慮の行き届いた農林業を推進します。経済的な支援に加え、本プロジェクトは、キツネザルなど絶滅の危機に瀕している野生動物の保護にも注力しており、孤絶を余儀なくされた動物たちが生息地に戻れるよう再植林を行い移動経路の確保も行っています。SIEは、本施策を通じて25,000本の植樹を支援します。

WWF

木に登って蜂蜜を採取する、先住民Talang Mamakの職人

インドネシア:Thirty Hills Wildlife Program

インドネシアのスマトラ島中部に残る最大の低地林Thirty Hillsは、絶滅危惧種のスマトラゾウ、オランウータン、トラに残された数少ない生息地のひとつです。WWFはパートナー企業や団体と共に、10万エーカー(約404平方キロメートル)に渡る熱帯雨林が皆伐されないよう管理し、地域コミュニティに利益をもたらす森林農業プログラムの構築、森林の監視パトロールや生物多様性のモニタリングを実施しています。SIEの支援は、カメラトラップ(モーションセンサーや赤外線センサーを用いた野生動物の自動撮影カメラ)による監視の充実化やWWFによる人間と野生動物間の紛争対策の拡大につながります。

アフリカ - Unganisha

アフリカのUnganisha自然地域は、セレンゲティ国立公園やキリマンジャロ国立公園など、世界的に重要な8つの保護地域が広がる地域です。SIEからの寄付は、国境を越えた自然保護活動に取り組む、WWFの壮大なプロジェクトに充てられています。本プロジェクトは、地元コミュニティやさまざまなパートナーとともに、地域内の密猟防止活動、人間と野生動物間の対立防止、生物多様性のモニタリング、持続可能な畜産業の実現、代替収入源の機会創出などを中心に、取り組んでいます。

今後、これらのプロジェクトの最新情報や写真をお届けできるのを楽しみにしています。

パッケージのプラスチック削減

新たに発売される小型製品からプラスチック包装材を廃止し、その他の製品についてはプラスチック包装材の使用率を10%削減する環境中期目標に向けて、SIEは努力を継続しています。2020年に発売した当初はPlayStation®5(PS5)の本体ならびに周辺機器のパッケージが93~99%(重量比)繊維素材でできていたのに対し、2023年度に発売された新製品は、製品によって異なるものの[1]、繊維素材でできた包装材を95~100%使用しています。最新モデルのPlayStation 5では、パッケージ上部についているプラスチック製の持ち手が廃止され、その他の製品でも従来のプラスチック製ハンガータブ(パッケージ箱外側の吊り下げ用に穴をあけた部分)の代替素材を検討し、2023年度に新たに発売されたPlayStationの小型製品で適用可能なすべての製品[2]に紙製ハンガータブを使用しました。また、PlayStation Link USBアダプターとPULSE Exploreワイヤレスイヤホンの包装においては、100%繊維素材が使用されています。

私たちは、製品の保護に必要なために、今もプラスチック包装材が使用されているパッケージについて、引き続き代替包装材を検討していきます。

再生プラスチックの活用

2023年度、全世界で利用されたPlayStationタイトルのディスクケースには、産業廃棄物からリサイクルされた再生ポリプロピレン(PP)を21%使用し、2022年度の14%に比べ、増加しました。今後もSIEでは、製品に再生プラスチックの使用を検討しながら、その進捗状況を報告していく予定です。

PlayStation Networkによるゲームの自動アップデートに関する通知の改善

昨年、PlayStation 5本体へのゲームのアップデートに関する通知方法を一部見直しました。PS5のレストモード中もインターネット接続を有効にしている場合、新たに導入されたAIの機械学習により、より効率的にアップデートに関する通知が行われます。これにより、インターネットのデータ送信量が全世界で最適化され、個人の通信量が軽減されるようになります。[3]

再生可能エネルギーへの移行に向けた継続的な取り組み

SIEは、ストリーミングサービスの拡大に伴い、PlayStationのゲームストリーミング用サーバーを管理するデータセンターと提携しながら、エネルギー消費効率の最新基準を満たせるように努め、可能な限り再生可能エネルギーを使った電力消費への移行を促進しています。2023年、PlayStationのゲームのストリーミングに使用された電力のうち、81%は低炭素の再生可能なエネルギー資源に由来するもの[4]でした(過去数年は78〜83%)。残りの19%[5]は、電力から発生した炭素排出量に相当するクレジットを、国際環境NGOの「Gold Standard(ゴールド・スタンダード)」から購入しました。また2023年、米国、英国、日本に拠点を置くSIEの主要オフィスでは、100%再生可能エネルギーによって発電された電力を使用しました。

SIEオフィスと社員に向けたエンゲージメント・イニシアチブ

世界各地のSIEオフィスでは、使い捨てプラスチック製品の削減に取り組んでいます。リバプールの社員カフェでは、使い捨て製品の不利用率100%を維持しており、ロンドンオフィスでは、使い捨てコーヒーカップとプラスチック製スムージーカップを完全撤去しました。サンマテオオフィスのカフェにおいても、すべての包装には堆肥化可能な素材を使用し、東京オフィスではカフェと会議室の両方で、使い捨てプラスチックを撤廃しました。

SIEは、環境に配慮した食の選択についても社員に対する啓発活動を実施しています。日本の社員カフェでは、昆虫やその他の代替肉などから摂取できるタンパク質について学ぶ、サステナブルフードのキャンペーンを開催しました。

SIE社員によるボランティア・プログラムでは、昨年に引き続き、世界各地で実施されたビーチクリーン活動や自然保護活動の数々に参加しました。英国のVinters ValleyEden ProjectThe Friends of Tower Hamlets Cemetery Park 、米国の Surfrider Foundation I Love a Clean San Diegoをはじめとする、本ボランティア活動のパートナー組織や団体の皆さんに感謝いたします。

Eden Projectで野草の種まきをする、リバプールオフィスの社員ボランティア

Shepreth Wildlife Parkのコウモリのケージの修繕を行う、ロンドンオフィスの社員ボランティア

製品使用による温室効果ガスの排出量のモニタリング

製品使用による二酸化炭素排出量は、世界の電力生産が再生可能および低炭素エネルギー源に移行すると予測されていること、およびコンソールのエネルギー効率を改善するためのSIEの取り組みにより、2018年度の基準値と比較して、2035年度までに45%削減できると予測しています。ソニーグループ全体における環境への影響、およびScience Based Targetsに認定された「2040年までにネットゼロ達成」という目標の詳細については、 サステナビリティレポート 2023をご覧ください。

SIEは、これらの活動を通して変化を促進することで、ゲーム業界を超えて社会に貢献することをめざしています。今後も、意志を行動に移し、適切なアクションを取りながら、環境と社会にポジティブなインパクトを与えられるよう、道を切り開いていきます。

まだやるべきことは多くありますが、今後も引き続き進捗状況や成果をお伝えしていきます。

原文はこちら