青と白を背景にしたEnyaのクローズアップ写真。英字で「Enya Gomes Clynch, Environmental Research Engineer」と記載されている

ソニーは、環境計画「Road to Zero」の一環として、環境に関わるいくつかの視点から目標を設定し、それらに向けて活動しています。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の事業活動が環境にもたらすインパクトを深く理解し、効果的なマネジメント戦略を策定するためには、学術的な研究が不可欠です。

今回のブログでは、SIEの環境リサーチエンジニアで、現在英国サリー大学の工学博士候補でもあるEnya Gomes Clynchを紹介します。Enyaは、ライフサイクルアセスメントツールの活用を通じて、PlayStationの商品やサービスの環境へのインパクトを評価する業務に携わっています。

環境保全に対する情熱の芽生え

Enyaは若い頃からサステナビリティの重要性を認識し、エンジニアリングにはポジティブな変化を生み出す力があると強く信じていました。そして、大学で生物化学工学を専攻(副専攻は環境工学)していたときから、エンジニアリングとサステナリビティの接点に興味を持ち始めました。

「私は、技術の進歩と責任ある意思決定が、私たちの社会が直面する重大な課題に取り組むうえで、とても大切な役割を果たすことに気がつきました。自分自身のためだけでなく、未来の世代のために地球を大切にすることは、私たち共通の責任だと考えています。私の研究が将来の社会や環境に影響を与える可能性があることを、とても誇りを感じています。」とEnyaは言います。

この気づきをきっかけに、Enyaは、SIEに在籍しながら博士課程に応募し、SIEの環境へのインパクトをより深く理解し、環境負荷の低減に向けて最新の研究を応用することを目指すようになります。

SIEを働く場所に選んだ理由については、「SIEが持つ意味のある変化を推進する力と、ESGイニシアチブに対する強いコミットメントに惹かれました。また、PlayStationのゲームを遊びながら育ったので、SIEの内側を知ることができるのは、とても魅力的でした。」と説明します。

緑色のSONYロゴが入った白い壁の前に立つEnya

SIEにおけるリサーチエンジニアとしての役割

EnyaはSIEの環境リサーチエンジニアとして、最新の研究に関する情報収集やCO2排出データの分析、自社製品の環境インパクトを評価するライフサイクルアセスメントモデルの開発などを行っています。このような業務を通して、SIEのビジネスにおける改善点などを特定することが可能になります。

PlayStationのシェイプスロゴ(ピンクの四角、青の十字、赤の丸、緑の三角)の前に立つEnya

業務外でも、EnyaはPlayStation Cares(SIEの社会貢献およびボランティアプログラム)などを通じて、環境保全を推進する活動に積極的に参加しています。最近では、イースト・ロンドンの自然保護区「タワーハムレッツ墓地公園」の清掃を行いました。この経験について「チームの努力の成果を肌で感じ、社内のさまざまな部署の同僚と交流できる、とても良い機会でした」と言います。

博士号の取得に向けた研究

Enyaは、SIEで正社員として働きながら、自身の専門領域に関する理解を深め、新たなソリューションの確立につなげるため、現在、博士号の取得を目指しています。「私の研究テーマは、ゲームに関わる製品やサービスが環境に与える影響を評価・管理するためのライフサイクルアセスメントツールの開発と応用に重点を置いています。SIEの既存のカーボンフットプリントに関するリサーチを基盤としながら、環境負荷の要因をより多く網羅することを目指しています。」

「PlayStationの商品やサービスのライフサイクルにおいて、環境にもっとも大きな影響を与える可能性がある段階を特定し、これらのインパクトの根本的な要因について理解を深めることが、私の研究の目的です。」

研究はまだ始まったばかりであるものの、Enyaは、自身のリサーチが環境負荷のさらなる理解につながり、SIEの環境保全に対する戦略の立案や、ソニーの環境計画「Road to Zero」の達成に向けて貢献していくことを目指しています。

未来のリサーチャーへのアドバイス

EnyaはSIEに入社し、環境リサーチエンジニアの職に就きましたが、このようなキャリアを築くには、さまざまな方法があります。この分野でのキャリア形成を目指す人たちに対して、Enyaは、視野を広げ、あらゆる可能性に対してオープンでいることが重要だと言います。

「好奇心を持ち続け、疑問を投げかけ、あらゆる機会を受け入れることが大切だと思います。ひとつのきっかけが、どこにつながるかは挑戦してみないと分かりません。サステナビリティに関心があるなら、ボランティアや研究への参加、興味のあるテーマの探求など、色々な形で行動を起こしてみてください!」

また、環境リサーチエンジニアなどの職種に興味のある女性たちに対して、Enyaはこうアドバイスします。「科学、技術、工学、数学(STEM)に携わるひとりの女性として、この分野に興味を持つほかの女性たちにも、自分を鼓舞し、導いてくれるメンターやお手本となる人物を見つけて欲しいと思います。複雑な環境問題に取り組み、常識を打ち破るためには、コラボレーションと学際的アプローチが不可欠です。また、女性同士のつながりを促進するネットワークに参加することで、私はSTEMコミュニティーのダイバーシティやリプレンゼンテーション(社会を構成する人々の多様性を正しく、公正に反映すること)の推進をはじめとした、重要な活動に貢献できていると感じます。」

プレイヤーができること

Enyaは、SIEの環境へのインパクトを把握し、削減するためのリサーチを行っていますが、PlayStationのコンソールでゲームを楽しむプレイヤーの皆さんも、環境負荷の低減をサポートすることができます。

「最も簡単な方法のひとつは、消費電力を低減する機能を有効にすることです。PS5が自動でレストモードに入るまでの時間の設定など、自分の好みに合ったレストモード設定を選択するといった小さな行動が、時間の経過とともに大きな違いを生みます。」

PlayStation本体を好みに合わせて設定する方法については、レストモード中の充電本体設定の最適化(英語のみ)および消費電力(英語のみ)についてのページをご確認ください。

SIEのアプローチ

SIEは、ソニーの環境計画「Road to Zero」の達成に向けて、商品、サービス、オペレーションにおける環境負荷を低減し、インパクトを最小限に抑えることを目指しています。Enyaが行っているような環境保全に対する研究や取り組みは、SIEが意志を行動に移し、私たちのビジネスならではの課題に取り組むうえで、とても大きな力になっています。

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