Girls Make Games: 時間と空間を超えた変化をもたらすために
Girls Make Games (GMG)は、過去10年間にわたり、ワークショップやゲームジャム(短時間ゲーム制作イベント)、サマーキャンプなどを通じて、ゲーム業界に興味を持つ女の子たちにあらゆる学びの機会やツールを提供し、才能を育んできました。この10年間でゲーム業界全体のエコシステムに起きた変化は素晴らしく、振り返ると信じられない気持ちになります。そして2014年の創立以来、女性もゲーム業界で活躍できることや、女の子たちのキャリア形成を応援する活動を実施してきたGMGも、目覚ましい進歩をとげています。この10年間、GMGが年々もたらしてきた間接的な変化や成果の数々はとても印象的で興味深いものばかりです。
今年、そしてこれからの私たちの最大の目標は、現在ワークショップを開催しているアメリカ西海岸以外の地域にも活動の場を広げることです。また、ゲームやIT業界における女の子たちのキャリアをサポートする活動も、引き続き精力的に取り組んでいく予定です。実際の現場で物事を直接体験することは、参加者の意識や考え方に大きな変化を与えることができます。大好きなゲームを制作しているゲームスタジオに彼女たちを招待することで、その場で働いている自分の姿を思い描くことができるのです。今年のパートナーワークショップには、カリフォルニア州に留まらず別々の都市を拠点とする3つのPlayStation Studiosが参加してくれました。実に3年以上ぶりに対面式のワークショップを開催できたことを、とても嬉しく思っています。本記事では、GMGをスタジオに招き、「遊びの力」を世界中に届ける方法を参加者の女の子たちに教えてくれた主催スタジオのInsomniac Games、Sucker Punch Productions、Bend Studioにお話をうかがいました。
3つのワークショップ、3つの視点
様々な知識を共有する際には、ワークショップなどを通してコラボレーションすることが重要です。
「子どもたちは、ゲーム開発者としての人生やキャリアを追求するための方法や道筋の多さに驚いていました」とInsomniac GamesのシニアコミュニティーマネージャーであるAaron Jason Espinoza氏は言います。「彼女たちは、アニメーター、ライター、オーディオデザイナー、プログラマー、コミュニティー管理など、ゲーム作りには数多くの役割や人々が関わっていることを学ぶことができたと思います」
ゲーム業界に入るための様々な方法を共有するだけで、業界への理解を深めることができるのです。Sucker Punch ProductionのアートディレクターであるJoanna Wang氏は、ワークショップのセッション中、共通の興味を見つけることで、自分の進むべき道への理解がさらに深まると言います。「アート、コーディング、またはゲーム開発における過程の一部分が好きなのかもしれない。彼女たちは少なくとも何かしらの形ですでにゲームに興味を持っているので、ゲームはどのようにできるのか、その全体像を見せてあげるのが私たちの役目です」
GMGのワークショップは参加者の女の子たちにとって刺激的で有益なだけでなく、スタジオ側にも学びがある、とSucker PunchのJoanna氏は説明します。
「ワークショップで普段の自分たちの仕事を紹介しながら、私たち自身も彼女たちから新しい視点を学ぶことができました。そしてゲームに対する情熱を思い出し、彼女たちと共有したいと思わせてくれたんです。この場で生まれたエネルギーが、次世代に受け継がれることを願っています」
また、日頃は同じような経歴や興味を持つ大人とばかり仕事をしているため、異なる年齢層からの質問は新鮮に感じられたようです。「全く新しい観点から私たちのプロダクトについて考えることができました」
Sucker Punch Productionsの創設者であるBrian Fleming氏は、参加者たちを温かく迎え入れ、彼女たちには近い将来、是非またスタジオを訪れて欲しいと言います。「(Sucker Punch Productionsは)モーションキャプチャやフォーリーサウンド(環境音や効果音)の制作施設など、エキサイティングな設備を備えながら、圧迫感を感じないくらいのちょうどいいサイズのスタジオです」Brian氏は最後に、今回多くのボランティアが集まってくれたことに感謝し、すでに次のワークショップの予定を立てていると教えてくれました。
GMGの創設当初、これらのワークショップは年に一度、夏季に行なわれるサマーキャンプイベントでした。そのため、翌年まで他の参加者たちに会えないことに涙を流し、落ち込む女の子たちもいました。現在では、対面式とバーチャルの両方で、1年に複数回イベントが開催され、参加者のレベルもどんどん上がっています。イベント終了後のアンケートでは、97%の参加者が「楽しかった」「また来たい」と回答しており、「もう来ない」と回答した参加者は0%という結果が出ています。Sucker PunchのBrian氏は、今回の参加者の約3分の1がゲーム開発経験者であったと推測します。「中でも特に経験豊富な参加者の熟練度には本当にびっくりしました。一方で、今回初めて参加した子たちのゲームを仕上げる速さと上達の速さにも驚きました。ひらめきの電球が光る『魔法の瞬間』が見ていて分かるんです」
「参加者の中には12歳や13歳の子もいましたが、彼女たちだったらすぐにでも新入社員としてゲーム制作に携われるくらい腕がいいと思いました」とSucker PunchのJoanna氏は付け加えます。「彼女たちが新卒の20代になって、実際に社会に足を踏み入れる時が今からとても楽しみです」
彼女たちのためにできること
GMGの将来を見据えた時、ワークショップをより多くの地域からアクセスしやすくするだけでなく、現在の年齢層を超えて参加者をサポートしたいと考えています。この目標を達成するため、私たちは「Girls Make Games奨学金」を設立し、18~24歳の若い女性向けに大学の授業料支援やキャリアに応じた経験を提供する活動を行なっています。さらに、GMGの卒業生向けには、夏季フェローシップ(卒業生向けの支援プログラム)や、メンターとマッチングする機会などを提供しています。これらの取り組みの結果、GMG卒業生の中には権威あるインターンシップや仕事に就き、現在もゲーム業界で楽しく働いている女性たちがいます。そして昨年は、2017年のGMG Demo Daysでグランプリを受賞したTeam Invenioが、PlayStationを通じて『Find Me』というタイトルのゲームをリリースしました※1。PlayStationとGMGが共同で実施した2021年および2020年のワークショップの内容も是非ご覧ください。
「GMG奨学金」は今年から、大学奨学金、サマーキャンプ奨学金、インターンシップやメンターシップなど、ゲーム業界への就職や進学に必要なあらゆる支援を開始する予定です。今後GMGは、NPO団体の「GMG奨学金」と共に、あらゆる学区とより幅広く、戦略的なパートナーシップの確立を目指します。そして今後10年は、女の子だけでなく、すべてのジェンダーを対象にしたワークショップを学校の教室で開催し、時間や空間といった業界の障壁を克服していくことを目標に取り組んでいきます。
※1 一部ご購入できない地域があります。
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